2017年度予算に対する討論

2017-04-14

 日本共産党区議団を代表しまして、第1号議案 2017年度大田区一般会計予算の編成替えを求める動議に賛成し、第1号議案2017年度大田区一般会計予算、第2号議案 大田区国民健康保険事業特別会計予算、第3号議案 大田区後期高齢者医療特別会計予算、第4号議案 大田区介護保険特別会計予算に反対の討論を行います。

第1号議案 2017年度一般会計予算

 
2017年度一般会計予算は、前年度比約45億円、1.7%増の2619億円余で過去最高となりました。

評価するもの

 新年度予算案には、認可保育所が11施設、児童相談所開設準備、保育士人材確保支援事業、特養ホームの整備・障害者サポートセンター二期工事、蒲田・大森駅のホームドア設置助成・エスカレーター設置助成、池上駅の鉄道駅総合改善事業費補助、ものづくり連携コーディネーター増員、住宅リフォーム助成拡充など、党区議団の提案や区民の声に応えたものであり評価します。

反対理由

 しかし、予算案で先ず、問題なのは、一昨年の消費税増税が住民の暮らしを圧迫しているなか、区民へ相次ぐ値上げで負担増を押付けていることです。
大田区政は、区民生活を支えてきたあらゆる分野の施策を縮小・廃止を進めてきました。新年度の予算編成方針でも「将来を見据え、区民目線に立った事業の見直しや再構築を行うことによる『選択と集中』を強化する必要がある」とし、引続き進めようとしています。

 区民への負担増では、4月から、学校給食の値上げでは、小学校の低・中学年年間3300円、高学年・中学校は年3850円の値上げで総額約1億4千万円。施設使用料は、約8割の使用区分で値上げとなり総額2000万円。さらに、9月からは保育園保育料と学童保育保育料の値上で行われ、低所得者対策は行われたものの園児の約6割の値上げで総額1.7億円となり、学童保育保育料も月1000円の値上となり、区民の負担増が目白押しです。特に保育園保育料はゼロ歳児は別枠にして大幅な値上げとなり子育て世代に負担を押し付けています。このような保育料の設定は23区で大田区だけとなっています。

 歳出面では、町工場のまち大田区といわれているにも関わらず産業経済費 37億円余構成比わずか1.4%です。その内訳は羽田空港跡地における成長戦略拠点の形成が約1億円など町工場支援が圧倒的に不足しています。衛生費でも、胃がん検診920万円余で2.5%減、大腸がん検診1990万円で10.1%減となっています。都市整備費で 耐震診断・耐震改修は2億1千万円、20.2%の減、雨水浸透桝等設置助成事業は276万円、23.5%の減となっています。今定例会に西糀谷老人いこいの家、大田区民センター廃止が決定され、区民からは怨嗟の声が広がっています。

 また、公共施設適正配置方針で、今後45年間で公共施設を1割程度削減する計画や、新たな財源確保で土地の売却も掲げ進めようとしています。

反対の第2の理由

 不要不急の事業、大規模開発事業を推進していることです。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、「国際都市おおた」をめざすとして、4割の住民しか残れない京急蒲田、糀谷駅に続き雑色駅前再開発を進めようとしています。

 羽田空港跡地計画は国際競争力強化と国際的な経済活動の拠点の形成を目指すという国家戦略特別区域法と財界・大企業の成長戦略のための「地方創生関連法」に基づくもので区内中小企業3400社を対象にしておりません。総括質疑でもこのことを指摘しましたが、明確な答弁がありませんでした。大企業だけがもうかる計画は見直しをするべきです。

 新空港線では、当初予算から10億円の積立てで総額40億円余となり、整備主体の設立により1億8千万円で一歩踏み出し不要不急の大規模開発に拍車をかけています。

 第三セクター方式は全国で失敗していています。この第三セクターへの出資は区民への大きな負担になるもので白紙撤回すべきです。
区民から批判が上がっている区議会議員の海外親善訪問調査も中止すべきです。

反対の第3理由

 職員削減と一層の民営化:アウトソーシングを行い、受益者負担のもとに多くの区民負担とワーキングプアを大田区自ら促進していることです。大田区は働き方改革への取り組みで、2月1日に「スマートワーク宣言」を行いましたが、その中身は、安倍内閣が進める「働き改革」を受けての取り組みです。安倍政権の「働き方改革」については、過労死水準(月100時間・年720時間)の残業を合法化し、残業代ゼロ制度の導入をめざすもので、「長時間労働を固定化し悪化させる改悪」ものであり「長時間労働は、働く人の身体と心の健康を傷つけ、家族や子育て、地域社会など日本社会の健全な発展にも大きな妨げになっています。残業時間の上限規制と労働法を守らせる監視体制の強化が求められます。

 特にノー残業デーを設けましたが、人を増やさずに早く帰りなさいの声だけでは労働強化を職員に押し付けるだけです。

 大田区は組織・職員定数の基本方針で、「外部化の再検証」で一層の民営化と、「適切な非常勤職員の設置及び臨時職員の活用」をすすめています。例えば、区立保育園の民間委託や児童館学童保育について昨年夏に突然発表した「児童館の在り方」の名による業務委託と51人もの非常勤職員の雇い止めであり許せません。

 児童館1館、子ども家1施設、分室2施設、フレンドリー6施設を廃止し、小学校内のひろば事業などに変更し業務委託することにより非常勤職員51が雇い止めになりました。大田区のため、情熱を持って子どもたちのために頑張っているのに突然の雇い止めに「大田区がすることか」と落胆しています。住民の福祉増進を担う区がやることではありません。強く抗議するものです。

 区は、正規職員の採用をせず、非常勤職員を安上がりに使っています。非常勤職員の方々は、区の職員と同じ仕事を情熱をもって仕事をしています。しかし、非常勤職員は一年ごとの契約で身分が不安定です。

 今、保育士不足が深刻な問題になっていますが、保育士不足の原因は、命をはぐくむ仕事なのに低賃金過重労働だからです。昨年の大田区が行った区立保育士募集には5倍を超える状況です。非常勤職員での活用、民間委託はやめ大田区が直接雇用を進めることです。

 予算特別委員会での予算の編成替えを求める動議を行いました。区民のくらしと営業を守るための緊急の提案で、保留児童数1873人(昨年1786人)と増えています。そのため、認可保育園20箇所の増設を盛り込みました。また、1300人の待機者のために特養ホーム10箇所建設、中小企業の支援として特に、ものづくり産業等実態調査検討委員会の設置、市場開拓推進員の雇用、工場家賃助成の実施、ものづくり経営革新緊急助成及び中小事業者の後継者助成の実施すること、後期高齢者の医療費の半額助成をするものです。

 また、不要不急の事業の減額では、セーラム市親善訪問、大連市親善訪問、及び区政施策調査の中止としました。また、総務管理費の人権推進事業のうち同和対策にかかる経費を減額、都市整備費のうち新空港線整備資金積立基金積立金を減額、などを削減しました。総額76億円余での増額で予算の僅か予算全体の約2.9%です。しかし、残念ながら否決をされました。

 今回、本会議において編成替えを再度求めました。この編成替えの提案は来年度待機児ゼロにするための提案であり、大田みらいプラン後期で30年度に入所100%を掲げています。大田区の施策と矛盾するものではなく前倒しして実現することと、区民から批判の声が上がっている海外親善訪問調査中止を求める動議であり採択すべきです。

予算特別委員会で要望した事項

次に予算特別委員会で要望した事項について、新年度に取り組みよう申し上げます。

  • 区債の活用で世代間の均衡を図り、区民施策を充実させること。
  • 区民間の利益の不公平をもたらすマイナンバー制度は中止すること。
  • コンビニ設置の多機能端末器の庁舎の設置を止める事。
  • 伊豆高原学園の区民利用促進のための改善。
  • 指定保養施設の利用制限の撤廃等の改善を。
  • 就学援助の入学準備金前倒し支給を小学1年生に、金額も増額すること。
  • 学童で働く非常勤職員に認定資格研修を最優先で行うこと。
  • インフルエンザ予防接種助成、国保料の差し押さえ強化の是正。
  • 区内商店街のカラ-舗装道路の総点検と計画的補修の強化。
  • オーダーメイド型福祉用具製作事業の拡充。
  • 区民のための無電柱化推進、データーヘルス計画の見直し。
  • 区営住宅の増設。
  • 「地球温暖化防止のため、航空機由来のCO2を大田区分として算定し、減らす目標に入れるべきである。」
  • サーマルリサイクルの中止、少人数学級の拡充、学習指導司書の待遇改善:金子
  • ぜひ、取り組むよう再度求めます

    第2号議案 大田区国民健康保険事業特別会計予算

     大田区国民健康保険事業特別会計予算は、保険料で、1人当たり平均111,844円。前年度比は7,252円増。2005年から12年間で1.51倍になります。また、介護分の前年度比2410円増と合わせて9662円の値上となり、過去最高の値上がりとなります。

     国民健康保険制度は、憲法25条にもとづいた社会保障であり、他の社会保険に加入できない自営業者や高齢者、無職者などが加入する「国民皆保険」制度です。

     財政基盤が弱い保険制度であり、加入者の圧倒的多数が年収200万円以下です。払えたくても払えなければ、健康保険証を取り上げられ、すぐに命と健康が脅かされることになります。

     これ以上区民生活を圧迫する国保料の引き上げは中止すべきです。また、国庫負担の大幅な削減が国保料の引き上げの原因になっていることから、国庫負担を増やすよう強く国に求めるべきです。

    第3号議案 大田区後期高齢者医療保険特別会計予算

     来年度から、激変緩和の保険料軽減特例が見直しされ均等割りが9割軽減から7割軽減となります。本則は5割軽減であり、今後さらなる均等割り負担が増えることは明らかです。軽減特例の見直しは収入が変わらないのに保険料があがることになります。

     実施当時は「姥捨て山」制度と言われたように、制度そのものが75歳以上の高齢者を現役世代と切り離し負担を負わせる制度で、なくすべきという立場から反対です。

    第4号議案 大田区介護保険特別会計予算

     大田区介護保険特別会計予算は、要支援1.2の訪問・通所サービスがすでに外され区の事業に移行されました。さらなる、介護保険給付サービス外しと負担増が狙われております。

     来年度は第六期の最後の年になります。党区議団は介護給付費準備基金について残さずに繰り入れて保険料の引き下げを求めてきました。しかし、4期、5期についても基金は残したままでした。今回は基金残は6億5千万円あります。この基金を活用しての保険料を引き下げるべきであるにもかかわらず、積み残したままであり予算には反対です。
    以上で討論を終わります。

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